【感想】痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(著者:夕蜜柑 イラスト:狐印)
まったり無自覚トッププレイヤーガールのVRMMO攻略記!
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 (カドカワBOOKS)
- 作者: 夕蜜柑
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
- 発売日: 2017/09/08
- メディア: Kindle版
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あらすじ
『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』は、ゲーム知識の浅い少女・メイプルこと本条楓(ほんじょうかえで)が、友人サリーこと白峯理沙(しろみねりさ)とともに、VRMMOゲームを防御力特化で攻略していく物語である。
「んー? て、ことは【VIT 256】? これ、かなり凄いスキル? ……兎さんと遊んでいただけだったのになあ……」
(中略)
つまり、奇跡的に取れたスキルと言っても過言ではない。さらに言えば、このスキルを持っているのは現状メイプルだけだった。
のほほん試行錯誤な女の子の快進撃!
本条楓は、ゲームに不慣れな女の子。
友達付き合いでVRMMO(MMO:大規模大人数同時参加型)ゲーム『New World Online』を遊ぶことになり、プレイヤーネーム『メイプル』として仮想世界に降り立ちます。
初期設定でいきなりステータスポイントを割り振るように言われたメイプルは、ダメージを無効化できるという文言を見て、防御力極振り型のキャラクターを作成してしまいます。
(ダメージ無効化ができるのは序盤のモンスターだけ)
このゲームにおいて防御力特化は非推奨、攻撃力重視が推奨とされていることも知らず、町の近場で兎型モンスターと戯れるメイプル。
そこで幸先よく『絶対防御』のスキルをゲットしたメイプルは、『分からないなりに色々試してみよう!』の精神で、どんどん活躍をしてしまうのです。
(防御力特化とは言いつつ、状態異常攻撃や装備の特殊効果などで殲滅力高し)
友達とのまったりゲームプレイ・他プレイヤーの見守り称賛
友達・サリーこと白峯理沙は、ゲームに誘った張本人ながら、親からのゲーム禁止令で出遅れてしまいます。
禁止令が解けたある日、メイプルからプレイ状況を聞いたサリーは、『普通ではないプレイスタイル』と苦笑い。
ならば自分は『回避盾』になる! と宣言。彼女は彼女でプレイヤースキルを活かし、己の道を突き進みます。
(実際は盾を使わずに双短剣を装備するので、魔法を使えるシーフやローグといったイメージが強いですね)
また、二人の大型新人で、匿名掲示板は大騒ぎになります。
無自覚に特殊なプレイスタイルを極めていく二人の女の子(しかも美少女!)を、他のプレイヤーたちは偵察もとい見守ることに。
ときには対人戦イベントで、メイプルに挑んでは敗北する有象無象だったり。
トッププレイヤーとして何人かの名前が挙がっているので、これからの登場・活躍が期待です。
ぽっと出てくる「おや?」なワード
もしかしたら単なるVRMMOものの共通概念かもしれず、作中での特別な意味があるかは不明ですが。
運営が設定する『時間加速』なるもの(察するに、現実とゲーム中の時間の進み方が違うように感じる設定)だったり、ゲームなのにフィードバックされる『痛覚』だったり、単なるゲームとは思えない言葉がぽっと文中に投げ出されています。
さらには、サリーはプレイヤースキルの一言では片づけられにくい能力を有している人物でもあります。
何かの伏線でしょうか……?
まとめ
『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』は、まったり読めるガールズゲームプレイ日記でした。
舞台がMMORPGと考えると、「このスキルやシステム、対応は明らかな調整不足なのでは」といった感はあります。
しかし、可愛いメイプルちゃん&サリーちゃんを遠巻きに見守るプレイヤーズの視点につい立って読んでしまう、ほんわかさせられる冒険譚でした。