【感想】<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 2.不死の獣たち(著:海道左近 絵:タイキ)
生命ある者だからこそ持つおぞましい怨念、アンデッドとの死闘!
- 作者: 海道左近
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2016/12/29
- メディア: Kindle版
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あらすじ
『インフィニット・デンドログラム 2.不死の獣たち』は、都市ギデオンに到着したレイとネメシスが、誘拐されたティアンの子供を救うため、凶悪極まるゴゥズメイズ山賊団に挑む物語である。
「レイ、私は今、一人の人間として、女性という花を守る棘としてこのクエストに挑んでいる」
俺の質問を遮るように、ユーゴーは発言する。
「君はなぜこのクエストをしている。王国の【聖騎士】だからやっているのか? それとも、君という男だからか?」
新たな装備と奇妙な出会い。挑むは子供浚いの山賊団
開幕、「あれ? 読む作品間違えたかな?」と思うような凄惨な描写が繰り広げられてびっくりします。ええ、洒落になっていません。
さて、前巻の物資護衛後、決闘都市ギデオンに到着したレイたち一行。
その商店に置いてあった遺産、カプセルトイちっくなガチャから、謎の機械馬・ゼフィロスシルバーをゲット。喜び勇んで乗馬するレイですが……あれ、乗馬スキル持っていない!?
騎士という下級職をすっ飛ばした弊害がここで出たレイは、がっかりして街に帰ります。
すると、何やら路地裏で、男たちに囲まれている女性が……。
この世界のNPCはティアンと呼ばれています。
そのティアンである女性は、弟を山賊団に誘拐され、身代金の要求を受けたとか。なんとかお金を集めて渡そうとしたところ、その山賊団の下っ端たちに騙され襲われそうになっていたのです。けしからん!
助けに入ろうとするレイより早く、ちょうど居合わせたマスター・ユーゴー・レセップスが下っ端たちを止めに入りますが、呆気なく返り討ちに!?
ユーゴーの職は『高位操縦士』と機械乗りで、生身の戦闘は強くないそうです。
そんな彼とその仲間・キューコ(無表情毒舌が素敵)とともに、無償で子供たちの救出に向かうことにしたレイ。
その道中、ネメシスをメイデンと見抜いたユーゴーは、レイにこう言うのです。
メイデン型のエンブリオを持つマスターの共通点は、このゲームをゲームの世界だと思っていない、と。
激闘! 凶悪なネクロマンサーと凶暴なグラディエーター!
対する山賊団の頭領は、ネクロマンサーのメイズとグラディエーターのゴゥズ。二人合わせてゴゥズメイズ山賊団というわけです。
二人ともマスターではなくティアンで、この世界ではぶっちぎりの戦闘力を持つ超級職を狙っている模様。
二人を倒せるマスター(つまり、まさにグラディエーターの超級職を持っているフィガロさんとか)が放置しているせいで、お手上げ状態に。
そんな彼らにとって、戦闘は命がけの行為。ゲームじゃありません。
一方で、レイたち自身はマスターだから死んでもデスペナルティを受けるだけとはいえ、子供たちのためにも絶対に負けられません。
かくして両者激突。
メイズとゴゥズは、恐るべき執念でもって、レイたちを迎え撃とうとします。
謎だらけの世界! それを管理する『運営』とは?
1巻からぷんぷん匂わせている〈Infinite Dendrogram〉の異世界感。
さすがに、このゲームの世界は本当の異世界で、プレイヤーたちは独自ハードを用いて送り込まれている存在だ、と察しがつきます。
そんな世界で『運営』をしているAIたち。
ゲーム開発者を称する人物の名前がルイス・キャロルなのでもろにアレです。『不思議の国のアリス』からAIたちの名前が取られています。
AIたちはそれぞれの思惑(あるいは役割?)で運営に携わっている様子で、レイに助言を与えてくれたチェシャや、モンスターを作っているジャバウォックやクイーンなる者たちが、この世界をVRMMO風に仕立てています。
果たして、彼らの目的とは? そんなところも大いに気になってくる2巻でした。
まとめ
『インフィニット・デンドログラム 2.不死の獣たち』は、不死者たちの血で血を洗う激闘が繰り広げられる物語でした。
レイの心が強い理由、人間状態でがんばるネメシスにときめきながらも、私的には事件の初めと終わりを締めてくれるリリアーナさんの登場が嬉しいです。
そのうちリリアーナさん、厄介なクエストばかり持ってくるNPCとして認知されそう……そのくらい色んなことを背負わされてる苦労人なお方ですね!