らのつづり。

ライトノベルを中心に、読んだ本の感想など。

【感想】<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 4.フランクリンのゲーム(著:海道左近 絵:タイキ)

国家間戦争の前触れ!? 三者三様のジャイアント・キリング!

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あらすじ

インフィニット・デンドログラム 4.フランクリンのゲーム』は、敵国ドライフ皇国のマスター・ミスター・フランクリンがしかけるゲームを、自由に行動できるレイたちマスターが打破する物語である。

 

「この街に集結していた頼りない王国の〈マスター〉が、指咥えて街ボッコボコにされて、お姫様誘拐されたら……」

 さらに笑みを深めて、フランクリンは言葉を発する。

「――もうこの国のティアンのだぁれも〈マスター〉に希望なんて抱かなくなって、抗う気力も尽きるんじゃないかなぁ?」

 

悪辣! ミスター・フランクリンの心へし折りゲーム!

 ミスター・フランクリンモンスター研究者で、ドライフ皇国が誇るトップランカーの『大教授』です。

 そう! 1巻のチャットルームで密談を交わしていた三人の一人!

 そんな彼は生産職なので、自身の戦闘力はさほど高くありません。だから、暗殺しようと思えばできるマスターです。

 ところが、その性格が恐ろしく粘着質! 自分を倒したマスターをゲーム引退に追い込むまで報復し続ける、ちょっとアレなプレイヤーなのです!

(現実のMMOでこんなプレイヤーに絶対会いたくない!!)

 

 フランクリンは、戦闘力の高いマスターが『超級激突』のイベントで集まったタイミングを狙い、隔離結界を張ってしまいます。

 その上、街の至るところにモンスターが封じられた時限装置を設置。ティアンの命は狙わないように設定してあるけど、街は破壊し尽くすと宣言しました。

 すなわち、マスターには無力感を与え、ティアンには失望感を与える。すっごい悪質なテロ行為を始めたのです!

 

 なんとか結界を突破しようとするマスターたちですが。

 レイは決闘に参加できない低レベルマスターなら結界を突破できることを発見。

(というより、低レベルだと結界の効果が及ばないので、決闘に参加できない)

 レイとルークを筆頭に、初心者たちでフランクリンのゲームを阻止しようと決死の行動を開始します。

 

 

全編に渡って繰り広げられる純度高の異能(スキル)バトル!

 気づかれることなく単身結界を抜け出していた記者、もといPK『絶影』のマリー

 昨日交流を深めた王女を救い出すため、敵地に単身向かいます。これがまたダークヒーロー感あってすごく素敵!

 

 かくして、レイ・ルーク・マリーVSフランクリンの配下たちという構図で、なんと全編バトル展開が楽しめちゃうんです!

 3巻まで読んだあたりから薄々感じ始めていたことですが、この作品、VRMMOモノというより、異能ファンタジーバトルモノという楽しみがかなり強いと思っています。

 ゲームとして取得できる単純なスキルのぶつけ合いではありません。

 個々のプレイヤーのバックグラウンドが反映された能力で、互いの長所・短所を読み合い、勝利を掴むという戦闘が行われるのです。

 

 エンブリオの進化は人によってバラつきがあり、未だ解明されていないと、作中で語られています。

 自己の精神構造や存在意義が反映されているのだとすれば、自己理解度をより深めた者が高位に進化できるのでは――なんてついつい想像してしまいますね。

 

まとめ

インフィニット・デンドログラム 4.フランクリンのゲーム』は、高レベルマスターが主導権を握る戦いに、低レベルマスターたちが己の能力と可能性を引き出して挑む物語でした。

 はてさて、フランクリンが誘拐したエリちゃんは救出されるのか、王国に勝利をもたらすことができるのか、次巻はついにお兄様出撃か!? ということで、早速読み始めたいと思います!