【感想】悪逆騎士団 そのエルフ、凶暴につき(著:水瀬葉月)
混沌の街で繰り広げられるエロ&バイオレンスファンタジー
ざっくりあらすじ
『悪逆騎士団』は、暗殺者として教育された少年『コル』が、標的のエルフ『アリシア』率いる騎士団に加入してすぐ、連続爆殺事件に巻き込まれる物語である。
「ふむ、私達は確かに悪かもしれない。闇金も悪で、おそらく必要悪だ。だがそれでも――お前達よりはまっとうな悪にやってもらったほうが、私達にとっては都合がいいというだけの話だ」
感想1.悪逆騎士団と呼ばれる一団の、問題がありすぎる面々
『蛮都』と呼ばれる街、ニルイーストは犯罪者やクズが集まった辺境の都市だ。
そんな街の騎士団が、まっとうなやり方で治安を維持しているわけがない。
騎士団の構成員は以下の五人。
- アリシア:騎士団長にして紋章法(魔法)のエキスパートのエルフ
- ヒオ: 拷問のエキスパート
- ローズリリィ:体術と生命法(治癒魔法)のエキスパートにして伝説の娼婦
- ベルガラン:常に帽子で顔を隠す愛の伝道師(つまり女好き)
- コル:無感情の暗殺者
言ってみれば、彼女たち『仕事人』たちが力によって問題解決するのを楽しむ物語なのである。
感想2.悪人だらけの街で起きる連続爆破事件
殺人やスリが日常的に行われる街で、何者かによる連続爆破事件が起きる。
組織だった悪が壊滅状態となっていく中、その『組織だった悪』の一つ、騎士団もターゲットにされる。命を狙われる心当たりが多すぎる面々は、相手の出方を見守ることに。
そこへ、同じくターゲットにされた商家の娘が父親の護衛を依頼しに訪れてくる――
悪人だらけでも均衡の取れていた街。そこで悪人が死ねば街がよくなるのかと問う事件である。
感想3.ところどころに差し挟まれるサービスシーン
それはそれとして、この物語の最大の特徴は、たびたび提供されるサービスシーンである。
主に羨ま……けしからん状況を享受するのがコルで、お相手はアリシアとローズリリィだ。『おねショタ』に分類してもいいかもしれないが、コルが無感情なので、お姉さんに弄ばれる感は皆無であるとを断っておく。
ヒオとはもしかしたら健全な関係が築けるかもしれないが、この話の中ではそういう気配まるでなし。彼女はアリシアに心酔しているので、コルをライバル視(?)する程度である。
みんな擦れているので、色恋沙汰はない。あっても肉体的な関係しかなさそうだ、という雰囲気のキャラクターたちだ。
『悪逆騎士団』はエロと暴力に耐性のない人にはちょっとオススメしづらいものの、悪が悪を裁く圧倒的強者感を求める人にはオススメできる物語だった。
そういえば、妙にキャラクターのお尻を意識させる描写が割とあったような――す、すみませんすみません! その、飲み過ぎてて!