らのつづり。

ライトノベルを中心に、読んだ本の感想など。

【感想】アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女(著:天城ケイ)

クールなサムライ青年とひたむきな貴族令嬢のバトルファンジー

 

ざっくりあらすじ

アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女』は、近代風ファンタジー世界が舞台。エージェントの青年クーファが、不義の子を疑われている侯爵家令嬢メリダのもとに家庭教師として派遣され、導いていく物語である。

 

「お嬢さま。どうかオレにだけはあなたを助けさせてください。あなたの力になりたいのです。たとえどんな嵐のなかであろうと、オレは必ずあなたの声に応えてみせます」

 

感想1:心ときめく教師と生徒の関係と王道なバトルストーリー

 軍の諜報員であるクーファ=ヴァンピールは、『無能才女』と蔑まれる侯爵家令嬢メリダ=アンジェルのもとに派遣される。

 

 侯爵家の血筋なら目覚めるべき力、『パラディン』のマナ(後述)を持たない彼女が本当に無能であるならば、いっそ暗殺する。

 そのつもりだった彼は、苦難に立たされてなお努力を諦めない彼女に、自分の間違いを悟る――

 

 そこから始まる本当の教師と生徒の関係が、すごくときめくんですわ~!

 教師に絶大の信頼を寄せるメリダ、生徒に戦い生きる術を教えるクーファ。

 師弟モノの胸が熱くなるツボを確実に突いてくる感じ、めっちゃ好きです。

 

感想2:メリダを中心に広がる人間関係、魅力的なサブキャラクター

 主な舞台はファンタジー世界のお嬢様が通う学校。

 という一言で察してもらえるように、お嬢様方の階層が描かれている。

  • いとこにして『パラディン』のエリーザ=アンジェル
  • エリーザの家庭教師で下層階級出身のロゼッティ=プリケット
  • いじめっ子(?)のネルヴァ=マルティーリョ
  • メリダに仕える愉快なメイドたちとメイド長エイミー

 

 中でもメリダとエリーザは、幼馴染なのに才能の有無とお家事情で疎遠になり、という複雑な間柄。

 それぞれを指導するクーファとロゼッティの間でも、いざこざがあったり相談があったりと、なかなかバリエーションに富んだ関係である。

 

 本作を読んだ感想としては、ロゼッティ、それとネルヴァの今後がとても気になりました。

 

感想3:濃厚なゲーム風味のあるファンタジー設定

 まず、本作にはゲーム用語の『ステータス』がある。

 他にもスキルやアビリティなどもあり、キャラクターたちの戦闘能力はステータスをもとに語られることになる。

 

 そして物語の中核に据えられているのが、『マナ』と『位階』。

 

『マナ』は少年漫画の『気』みたいなもの。『こいつ、どんどん気が膨らんでいくぞ……!』なチャクラパワーである。

『位階』は、そのパワーのカテゴライズ。RPGクラスみたいなもの。実際、本作も聞いたことのあるクラス名で表現される。

 

 具体的に、メリダは『パラディン』の位階の家系にもかかわらず、マナを持たない無能の子、という設定になっている。

 

 舞台世界も独特で、初めて読むときは少し身構えるかもしれない。

 が、舞台中社会の階層も、お嬢様学校の階層と似たようなものだ。保護された人間以外は死と隣り合わせの生活を送っている、というシビアな世界である。

 

まとめ

アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女』は、ホットな王道バトルファンジーだった。特に学期末公開試合と刺客への抵抗! 

 思わずクーファと一緒に「がんばれ!」と声援を送りたくなる、ひたむきで素直なメリダの可愛さ格好良さが非常にグッド。

 クーファ自身も彼女のために苦労を厭わないナイスボーイ。ただし鬼畜教師