【感想】イリヤの空、UFOの夏 その3(著:秋山瑞人)
爽やかな和解から、一気に突き落とされる急展開
ざっくりあらすじ
『イリヤの空、UFOの夏 その3』は、やっとクラスメイトと親しくなった『伊里野加奈』だったが、ある事件を境に衰弱していく。そんな彼女を救うため、『浅羽直之』が行動を起こす物語である。
「あきほには、ぜったいまけない」
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浅羽はさておき壮絶なガールズファイト!
前回、さらっと浅羽に置き去りにされた晶穂。
彼女は伊里野に直接勝負(?)を挑む。自分が受け持っている新聞企画、食レポ『行き当たりばったり』に伊里野を誘うのだった。
対する伊里野も、晶穂に対抗心を抱きながら、取材に同行する。
二人は互いに意地を張り、退くことができず、とうとう激しくぶつかり合う。
ご安心を、目を背けたくなるような取っ組み合いなどではない。
二人は大食い勝負で競い合うのだった。
このフードファイトが白熱の試合展開を見せる。
見た目は細い女子学生が大食いメニューを注文したとあって、店員、主人、大勢の観客を巻き込んだ世紀の決戦となる。
歓声の中、晶穂と伊里野は拳を交わす……じゃなくて料理を平らげていく。
激闘の末に、二人の関係も変化し――というエピソードが微笑ましい。
突如起きる基地爆発。急転直下の展開
というエピソードが微笑ましい、と上では書いたが。
この巻からやや陰惨とした物語終盤に突入する。
園原基地で謎の爆発が起き、学校が三日に一度の登下校に制限される。
さらに、クラスメイトと一緒に遊ぶ浅羽の目前で、伊里野が榎本に無理矢理連れ去られてしまう。
翌日、伊里野は登校してくるのだが、その髪は真っ白に染まっていた。
日に日に衰弱していく伊里野。
電話の最中、何者かに襲われる水前寺。
頼れる人を失った浅羽は、ついに行動を起こす。
まとめ
『イリヤの空、UFOの夏 その3』は、うすうす予期させながらもついに訪れた展開に胸を抉られる内容だった。
平和だった日々から投げ出された浅羽と、今まで人知れず戦ってきた伊里野がどうなるのか、次巻を読まれたし。園原新聞は弾圧に屈しない。
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